出だしが肝心
面白いもので、モラルや信頼、なんでもかんでも、人間は本質的に悪くする(しかし短期的に労が少なかったり、利己的だったりする)方を選ぶ力が働くらしい。積み上げたり維持したりするのはとても大変なわりに、崩れるのは比較的簡単なものだ。 でも1つ例外があって、それが「出だし」。最初の頃の印象は結構残るものだし、組織の雰囲気も最初に感じたものが重要で、後から締め直したところで人間の行動はなかなか変わるものではない。
過去にこんな経験をしたことがある(登場人物は全体で見て尊敬しているので、かなりボカします)。元々リーダーが内務が得意な、メンバーに目を行き届かすタイプの人間で、良いグループが構築されていた。議論や助言も活発で、もちろん遊ぶときは遊ぶ、そんな感じだった。しかしリーダーが外務が得意な方に変わってから、内務が相対的に悪くなり、まず議論が減った。議論が減ると、時間の限られた能力のある人が(利益が少ないと感じたのか)来る頻度が減り、助言が減った。これが2,3年で起きた。その状態から、またもとの状態に戻すのが大変なのは、まぁ想像がつくのではないだろうか。
あるいは、基本的に朗らかなのに、ある特定の人達に対してだけやけに厳しい人というのも複数人見てきた。そういうのを見てしまうと、「裏でどう思われてるかね」と、案外信頼しきれなくなってしまうものだ。
逆に、「うわーこのグループはキツいな…」と思ってから、自分で活動して改善しようとしたところで、うまくいった経験はほとんどない。私の能力不足もあるだろうが、知り合いの話を聴いていても、改善しようとしても心が折れた、というケースの方が多いし、状況はそこまで変わらないらしい。集団のモラルを改善しようと1人で動いたところで、煙たがられるだけなのだ。
信頼についてもそうだ。どれほど親しかったとしても、一度「許さない」と思うようなことがあれば、そこから分かり合うのは非常に難しい。
そんなわけで、最初に信用され、最初に集団としてのモラルをはっきりと示すことが大切だと、強く感じている。