見て、聞いて、感じて学習せよ

「本を読んだのですが、内容覚えられなくて…」という話はよくある。それに比べて、例えば車の運転は、1か月経っても、意外と覚えているものだ。

また、情報系の人間としては、指が文字列を記憶していて、頭で考えるよりも早くキーボードをタイピングできる場合がある。

もしくは、黙読するよりも音読した方が英語が上達する、という話は英語上達メソッドの常とう手段である(実家暮らしにはつらいものがあるが…)。

場合によっては、味やにおいで覚えているモノもあるだろう。文字から覚えている味やにおいの文語表現は、なかなか出てこない。


さて、これらの事実はどういうことだろうか。 黙読と音読を比べると、脳への入力速度は同じ速度どころか黙読の方が圧倒的に早い。 しかし、入出力のチャンネル数は音読の方が多く、さらに一度脳内で解析を必要とする。すなわち、

  • 目で入力
  • 目から得た文字情報から口の動きを決定
  • 運動に変換させて発話
  • 発話を耳で聞く

という操作になる。黙読(目で入力するだけ)に比べると、いかに様々な動作を行っているかわかる。 このチャンネル数の多さが、知識の定着に影響しているのではないだろうか。

であるならば、例えば機械学習の入門書を読むならば書籍にメモを記述しながら、あるいはコードを書きながら読み進めたり、 有機化学の教科書であれば、構造変化を記述したり、3次元構造をPC上で見たり、空中で手を動かしながら、構造を理解することで、 より知識が得られていくようになると思う。

年齢が高まると記憶力が落ちるという。それは確かにその通りなのだろうけれど、 小学生のころに疑問も持たずにやった、5回同じ漢字を書く、という課題を 大人になってやらなくなったことも、記憶できなくなる原因なのかもしれない。