理論と直感の関係

一般に、理論と直感というものは対比して表現されることが多い。理論は静、青な世界であり、直感は動、赤な世界であろう。 しかし、クラシック音楽を多少たしなむ身として感じるのは、理論と直感の関係はそんなに簡単ではないということである。

音楽というのは一見して直感的、感情的で、時には攻撃的である。 しかし、殊にクラシック音楽というものには理論が存在し、音楽学という学問が成り立ち、楽典という文法書のような書籍まである。あきらかに「こうすべきですよ~」という原則が存在している。 つまり、理論と直感が同居しているのである。どういうことだろうか。


私個人は、以下のように考えている。

  • 理論とは、万人が受け入れるための土台。なんか嫌だなと思われないための工夫
  • 直感とは、自分の存在を主張するための創造。なんか好きだなと思われるための工夫

音楽で言えば、「特別好かれるポイント」がなければ人の印象には残らないし、「嫌われない努力」をしなければ曲名を探そうと思ってくれる人は少なくなるだろう。 理論だけでは自分らしさが立たず、直感だけでは共感してくれる人は少ない。どちらも持ち合わせることで、人口に膾炙しつつ、特徴を受け入れてくれるのだと感じる。


ところで、先進的な理論を用いて作曲されている方も多い。これは「この理論で曲を作り上げることで、新しい世界を開く」という考えは直感的であり、しかしそれが未来の「常識」になりうる世界であって、個人的にはとても好感を持てる試みだと感じる。(といっても、残念ながら私の音楽歴では理解できないものが95%以上なのだが…)